心房細動の治療について

心房細動の治療について

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心房細動とは

心房細動(しんぼうさいどう)は、心臓の上の部屋(心房)が小刻みに震えてしまう不整脈の一種です。脈が不規則になり、速くなったり乱れたりします。動悸や息切れを感じることもありますが、まったく症状が出ないこともあります。

最大の問題は、

心房の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳に流れて脳梗塞を起こすリスクが高まること

です。

心房細動は年齢とともに増える病気で、日本でも高齢化とともに患者さんが急増しています。


分類について

心房細動はいくつかのタイプに分けられます。

  • 発作性心房細動:数分〜数日で自然に止まるタイプ
  • 持続性心房細動:自分では止まらず、治療で止める必要があるタイプ
  • 長期持続性心房細動:1年以上続いているタイプ
  • 永続性心房細動:治療で止めず、不整脈のまま生活していくと決めたタイプ

無症状のまま健診や検査で偶然見つかることもあります。


原因とリスク要因

心房細動の背景には、心臓の病気や生活習慣病が関係しています。

  • 循環器疾患:高血圧、心不全、心臓弁膜症、心筋梗塞
  • 生活習慣病:糖尿病、脂質異常症、肥満
  • その他:甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群、過度の飲酒やストレス

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症状と診断

主な症状

  • 動悸(ドキドキする感じ)
  • 脈が乱れる、飛ぶ感じ
  • 息切れ、胸の違和感
  • めまい、ふらつき
  • 無症状のことも少なくありません

診断の方法

  • 心電図(最も基本的)
  • ホルター心電図(24時間記録)
  • 心エコー(心臓の形や弁の動きを確認)
  • 血液検査(甲状腺、腎機能など)

治療の流れ

心房細動の治療は

「脳梗塞予防」

「症状コントロール」

「生活習慣の見直し」

の3本柱です。

1. 脳梗塞の予防(抗凝固療法)

脳梗塞を防ぐために、血液を固まりにくくする薬を使用します。

  • 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)
    • アピキサバン(エリキュース®)
    • リバーロキサバン(イグザレルト®)
    • エドキサバン(リクシアナ®)
    • ダビガトラン(プラザキサ®)→ 定期的な採血が不要で、現在の主流です。
  • ワルファリン→ 食事や薬の影響を受けやすく、定期採血が必要ですが、腎機能が悪い方にも使用できます。

2. 脈の速さを整える(レートコントロール)

  • β遮断薬(ビソプロロール、カルベジロールなど)
  • カルシウム拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム)
  • ジギタリス

3. リズムを整える(リズムコントロール)

  • 抗不整脈薬(アミオダロンなど)
  • 電気的除細動(電気ショックで洞調律に戻す)
  • カテーテルアブレーション(焼灼術、近年はパルスフィールドアブレーションも登場)
  • 外科治療(メイズ手術など)

4. 急性期対応

  • 血圧が不安定なとき → 緊急で電気的除細動を行うことも
  • 症状が軽いとき → 脈を整えて経過をみる

長期管理と生活習慣

心房細動は一度起こると再発しやすいため、長期的な管理が必要です。

  • 抗凝固薬や抗不整脈薬を正しく続ける
  • 定期的な心電図や血液検査で経過を確認
  • 生活習慣の改善
    • 過度の飲酒を控える
    • 体重を減らす
    • 睡眠の質を改善する
    • 運動習慣を持つ

研究では、運動習慣や心肺機能の高い人は死亡率が低いことも報告されています。


放置するとどうなるか

心房細動をそのままにすると…

  • 脳梗塞(重い後遺症を残すことも)
  • 心不全(息切れやむくみ、入院が必要になることも)
  • 認知症や記憶障害(無症候性脳梗塞の影響と考えられます)

といった合併症のリスクが高まります。


当院でできること

国分町たにた内科・循環器内科では、循環器専門医による心房細動の診療を行っています。

  • 心電図・ホルター心電図・心エコーによる正確な診断
  • 抗凝固薬(DOAC・ワルファリン)の適切な処方と管理
  • 脈やリズムを整える薬の治療
  • カテーテルアブレーションが必要な場合、専門施設と連携したご紹介

仙台市中心部で、地域の皆さまが安心してご相談いただける体制を整えています。


まとめ

心房細動は、脳梗塞や心不全の原因となる身近で重要な病気です。

治療の柱は 「脳梗塞予防」と「症状コントロール」。薬や処置だけでなく、生活習慣の改善も大切です。

動悸や脈の乱れを感じたら、早めに循環器内科へご相談ください。


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