「家族性高コレステロール血症」のはなし

目次

家族性高コレステロール血症(FH)とは

家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)は、遺伝の影響でLDLコレステロール(いわゆる“悪玉コレステロール”)が生まれつき高くなりやすい体質の病気です。

一般的な高コレステロール血症と比べ、若い頃からLDLコレステロール値が非常に高くなりやすいことが特徴です。

この状態を放置すると、動脈硬化が早く進み、心筋梗塞や狭心症などのリスクが高くなります。
成人ではおよそ200〜300人に1人ほど見つかるとされ、決して珍しい病気ではありません。

早めに気づき、適切に治療・フォローを続ければ、将来の心血管イベントのリスクを大きく下げることができます。

原因とリスク要因

家族性高コレステロール血症(FH)は主に、体内でLDLコレステロールを片づける仕組み(LDL受容体など)に関わる遺伝子の変化によって起こります。

親から子へ受け継がれるため、家族内に若い時期からコレステロールが高い方、あるいは若くして心筋梗塞になった方がいる場合は、FHの可能性を考えます。

また、同じ家族性高コレステロール血症(FH)でも生活習慣(食事、運動不足、喫煙、睡眠不足、過度の飲酒、ストレス)や、甲状腺機能低下症・腎疾患・一部のお薬の影響が重なると、LDLコレステロール値がさらに上がり、動脈硬化が進みやすくなります。遺伝と生活習慣の両方に目を向けることが大切です。

主な症状・気づきのサイン

多くの方は自覚症状がありません。きっかけとしては健診や人間ドックで「LDLコレステロール値が非常に高い(目安:180mg/dL以上)」と指摘されることが多いです。

体のサインとしては、アキレス腱が太い・硬いと感じる、まぶたや肘、アキレス腱周囲などに黄色っぽいふくらみ(コレステロールの沈着、黄色腫)がみられる場合があります。

また、家族に若くして心筋梗塞・狭心症になった方がいる、または高コレステロールの方が多いといった家族歴も重要な手がかりです。

これらのいずれかに当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。

診断の進め方

まず採血でLDLコレステロールHDLコレステロールトリグリセライド(中性脂肪)などを測定します。同時に、甲状腺・腎機能・肝機能・糖尿病など、二次性の原因がないかも確認します。

当院ではアキレス腱の超音波検査で腱の厚みや性状を確認できます。

腱が通常より厚い場合、FHの診断の参考になります。

さらに頸動脈エコーで血管の壁の厚さやプラーク(こぶ)を評価し、動脈硬化の進み具合を可視化します。

ご家族の病歴やコレステロール値も伺い、総合的に診断します。
必要に応じて遺伝学的検査を検討し、その場合は東北大学病院などへご紹介いたします(当院と連携して結果に基づく治療方針を共有します)。

余談ですが、院長は「アキレス腱の超音波検査と動脈硬化の関連」についての医学論文の執筆歴があります。
Structural Abnormalities of the Achilles Tendon are Associated With Coronary Artery Disease Even Without Achilles Tendon Thickening(First published online March 21, 2025)

治療(生活習慣・内服・注射療法)

家族性高コレステロール血症(FH)では薬物療法が治療の中心になりますが、生活改善もとても大切です。
飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を控え、魚や大豆、野菜、海藻、きのこ類を取り入れたバランスの良い食事適度な運動禁煙十分な睡眠を心がけましょう。無理のない方法を一緒に考えていきます。

内服治療は、まずスタチン(肝臓でのコレステロール合成を抑える薬)を基本に、必要に応じてエゼチミブ(腸での吸収を抑える薬)などを追加します。動脈硬化の程度や合併症の有無に応じ、より厳格なLDLコレステロールの管理を目指します。

内服で十分に下がらない場合は、PCSK9阻害薬などの注射療法を用いることで、LDLコレステロール値を大幅に下げることが可能です。
当院では注射療法まで対応できますので、効果・費用・通院スケジュールなどを丁寧にご説明のうえ、最適な方針を一緒に決めていきます。

重症例、妊娠を希望・予定されている方、治療目標に達しにくい方などは、必要に応じて東北大学病院と連携し、遺伝子検査や高度な脂質管理を検討します。

放置するとどうなる?

家族性高コレステロール血症(FH)を治療せずに放置すると、若い年代から動脈硬化が進み、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞などの重大な病気のリスクが高まります。

一方で、早期から継続的に治療を行えば、こうしたリスクは大きく下げられます。数値が良くなっても自己判断で治療を中断せず、定期通院で安全にコントロールしていきましょう。

受診の目安

健診や人間ドックで繰り返し「LDLコレステロール値が非常に高い(目安:180mg/dL以上)」と言われる方は、まずご相談ください。

家族に若くして心筋梗塞・狭心症になった方がいる、あるいは高コレステロールの方が多い場合も、早めの評価が大切です。

アキレス腱が太い・硬いと感じる、または皮膚に黄色いしこりがあるなどのサインがある場合も、受診をおすすめします。

当院でできること(仙台市青葉区・国分町たにた内科・循環器内科)

当院では、採血による脂質精査(必要に応じて二次性の原因もチェック)、アキレス腱エコー・頸動脈エコーによる動脈硬化評価を実施しています。生活・食事指導から、内服治療、PCSK9阻害薬などの注射療法まで院内で対応可能です。

遺伝学的検査や高度な治療が必要な場合は、東北大学病院などの専門外来へ円滑にご紹介します。
初診時には、可能であれば直近の健診結果をお持ちください。
受診・検査・治療のご相談は、お電話またはWEB予約からお気軽にどうぞ。

(注)本ページは一般的な解説です。最終的な診断・治療は診察のうえで個別に決定します。

目次