高血圧とは?
高血圧とは、血管の中を流れる血液の圧力(血圧)が慢性的に高い状態をいいます。
高血圧は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行します。そのため「サイレントキラー(静かな病気)」と呼ばれます。放置すると 動脈硬化、心臓病、脳卒中、腎臓病 など、命にかかわる病気の原因になります。
JSH2025での新しいポイント
2025年に日本高血圧学会から「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」が発表されました。これは医師だけでなく、患者さんやご家族にとっても重要な改訂です。
1. 血圧の目標値が統一されました
これまでのガイドラインでは、
- 75歳未満の方:130/80mmHg未満
- 75歳以上の方:140/90mmHg未満
と分かれていました。
しかし最新の研究から、高齢の方でも130/80mmHg未満を目指した方が、脳卒中や心臓病を防げることが明らかになりました。
現在は年齢や病気に関係なく、基本的に 130/80mmHg未満 が目標となっています。
2. 治療の開始が早くなりました
これまでは「まず生活習慣を改善して、数か月後に再評価してから薬を検討」とされることも多かったですが、
早めに介入することで、心臓や血管を守る効果が高まります。
3. 薬の使い方が見直されました
- これまで日本であまり使われていなかった 利尿薬やβ遮断薬 も、必要に応じて積極的に使うよう推奨されました。
- 病気の状態に合わせて、複数の薬を早めに組み合わせて使うことがすすめられています。
血圧を下げると得られる効果
「血圧を少し下げるだけで、本当に効果があるの?」と思われる方もいるかもしれません。
実は、血圧を下げることで以下のような大きな効果が得られることが科学的に分かっています。
- 脳卒中のリスクが約40%減少
- 心筋梗塞など心臓病のリスクが約20%減少
- 心不全や腎臓病の進行を予防
特に日本人は脳卒中が多いため、血圧管理はとても重要です。
「血圧を10mmHg下げるだけで、寿命がのびる可能性がある」とも言われています。
高血圧の原因とリスク要因
高血圧の多くは「本態性高血圧」と呼ばれ、原因をひとつに特定できません。
ただし以下のような生活習慣や体質が関係しています。
- 塩分のとりすぎ(日本人は特に注意が必要)
- 肥満や運動不足
- ストレスや睡眠不足
- 喫煙や過度の飲酒
- 遺伝(家族に高血圧の方がいる場合)
- 加齢による血管の老化
どんな症状に気をつける?
高血圧は自覚症状が少ない病気ですが、進むと次のような症状が出ることがあります。
- 頭痛、肩こり、めまい
- 動悸や息切れ
- 足のむくみ
- 視力の低下
ただし、多くの場合は症状が出ないまま合併症が進行します。
治療の方法
生活習慣の改善
- 減塩(1日6g未満が目標)
- 野菜や果物を多めにとる
- ウォーキングなどの有酸素運動
- 禁煙
- お酒は控えめに
- 睡眠と休養をしっかりとる
薬物療法
生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合、薬の力を借りることも必要です。
主なお薬は以下の種類です。
- Ca拮抗薬(血管を広げて血圧を下げる)
- ARB・ACE阻害薬(血管を守る作用もある)
- サイアザイド系利尿薬(余分な水分を出して血圧を下げる)
- β遮断薬(心臓の負担を減らす)
複数のお薬を組み合わせて使うこともあります。
放置するとどうなる?
高血圧をそのままにしておくと、次のような合併症につながります。
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞)
- 心筋梗塞、狭心症
- 心不全
- 腎臓の障害(人工透析が必要になることも)
- 大動脈瘤や大動脈解離
当院でできること
「国分町たにた内科・循環器内科」では、循環器専門医が最新のJSH2025に基づき、高血圧診療を行っています。
- 家庭血圧の正しい測り方の指導
- 減塩や生活習慣改善の具体的なサポート
- 血液・尿・心エコーなどでの合併症チェック
- 薬の早期開始・調整(必要に応じて複数薬を組み合わせ)
- 患者さん一人ひとりに合わせた治療計画
仙台市青葉区で「内科」「循環器内科」をお探しの方は、どうぞお気軽にご相談ください。