糖尿病の概要
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が高い状態が続く病気です。通常、食事で摂った栄養は「インスリン」というホルモンの働きによって体の細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。しかし糖尿病では、このインスリンの量が不足したり、働きが弱くなるために血糖がうまく利用されず、高血糖が続いてしまいます。
日本人の多くは「2型糖尿病」で、遺伝的な体質に生活習慣(食べ過ぎ・運動不足など)が加わって発症します。放置すると、目(網膜症)、腎臓(腎症)、神経(しびれや自律神経の異常)といった細小血管症や、心筋梗塞・脳梗塞などの大血管症を引き起こす可能性があります。
原因とリスク要因
糖尿病は「生活習慣病」として知られていますが、実際には遺伝的な体質も大きく関係します。家族に糖尿病のある方は発症しやすく、加齢や肥満、ストレス、喫煙などが重なるとさらにリスクが高まります。
とくに注意が必要なのは次のような方です。
糖尿病による合併症は大きく2種類に分かれます。
- 細小血管症:網膜症(目)、腎症(腎臓)、神経障害(手足のしびれ・痛み・自律神経障害)
- 大血管症:心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患
主な症状・気づきのサイン
糖尿病は初期には症状が乏しく、健康診断で偶然発見されることも少なくありません。進行すると、次のような症状が見られることがあります。
- のどが渇く、たくさん水を飲む
- 尿の回数が増える(夜間の尿も増える)
- 体重が減る
- 疲れやすい、だるい
- 目がかすむ
- 手足のしびれや感覚の低下
診断の方法
糖尿病は血液検査や尿検査によって診断します。代表的な診断基準は以下の通りです。
- 空腹時血糖値:126 mg/dL以上
- 75gブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値:200 mg/dL以上
- 随時血糖値:200 mg/dL以上
- HbA1c:6.5%以上
これらを組み合わせて確認し、典型的な症状や糖尿病網膜症の存在があれば糖尿病と診断されます。
治療の目標
糖尿病治療の目的は「合併症を防ぎ、健康寿命を延ばすこと」です。
血糖管理だけでなく、動脈硬化を防ぐために次のような管理も重要です。
- 血圧:130/80 mmHg未満
- LDLコレステロール:120 mg/dL未満(動脈硬化リスクが高い方は100未満、心筋梗塞・脳梗塞の既往がある方は70未満を目安)
治療の方法
1. 生活習慣の改善
- 食事:規則正しく三食をとり、食べ過ぎを避けましょう。腹八分目を意識することも有効です。
- 運動:ウォーキングなどの有酸素運動を週150分以上、筋力トレーニングを週2〜3回行うことが推奨されます。
2. 薬物療法
生活習慣の改善だけで血糖コントロールが難しい場合は薬による治療を行います。
- 飲み薬:メトホルミン、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬など
- 注射薬:GLP-1受容体作動薬、インスリンなど
近年は心臓や腎臓を守る効果が期待できる薬も登場しており、患者さん一人ひとりに合わせた治療選択が可能です。
3. インスリン治療
著しい高血糖や1型糖尿病、妊娠糖尿病、重症感染症などの場合にはインスリン治療が必要となります。
放置するとどうなる?
糖尿病を放置すると、合併症が進行し、生活の質を大きく損ないます。
こうした合併症を予防するためには、早期発見と継続的な治療が不可欠です。
当院でできること(仙台市青葉区・国分町)
当院では、糖尿病診療に力を入れており、以下の体制を整えています。
- 血液検査:血糖・HbA1cを測定し、結果をご説明します。
- 生活習慣サポート:無理なく続けられる食事や運動の工夫を提案します。
- 薬物療法の最適化:最新のSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を含め、一人ひとりに合った治療を行います。
- 合併症チェック:腎機能検査・眼底検査・神経障害の確認を定期的に行い、必要に応じて専門医と連携します。
- 地域連携:糖尿病連携手帳を活用し、病院や専門医と情報を共有して安心の診療を提供します。
よくあるご質問
Q. 運動はどのくらいすれば良いですか?
A. 息がはずむ程度の速歩を週150分以上、できれば筋トレも週2〜3回取り入れると効果的です。
Q. HbA1cはどのくらいを目指すのですか?
A. 多くの方は7.0%未満を目標にします。年齢や合併症に応じて、無理のない範囲で調整します。
担当医からのメッセージ
糖尿病は「自己責任の病気」ではありません。遺伝や体質、生活環境も関係する病気です。大切なのは一人で抱え込まず、医師や管理栄養士と一緒に取り組むことです。気になるサインがあれば早めに受診し、安心して生活を続けていけるようサポートしていきます。
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